建築確認とは、これから建築しようとする建物が建築基準法などの
法令や各種基準に適合しているかどうかの審査をする行政行為である。
建築基準法では次のように定めている。
都市部では大部分が該当する 『都市計画区域』 内では、
一般建築物のほぼすべてが 『建築確認』 を受けなければならない。
建築確認の必要な建築物は、建築確認を受けた後でなければ着工してはならない。
この建築確認事務を取扱うのは、建築主事という特定の資格を与えられた人で、
建築主事をおく役所は特に 『特定行政庁』 と呼ばれる。
しかし、建築基準法の改正 (1998年) により、
建築確認事務について民間委託ができるようになっている。
(Wikipediaより引用)
上記の様に建物を建てる時には建築確認というものが必要です。
建築確認申請をして適法であれば
申請後21日以内(建築物によっては7日以内)に確認済証が交付されます。
(千葉県HP 建築基準法に基づく建築確認の手続きについて より)
元々、行政の仕事だった建築確認は1998年の建築基準法の改正により
建築確認事務について民間でもできるようになりました。
これって、分かりやすく言うと「民間車検場」みたいなものですか?(笑)
この民間で建築確認ができる所というのは、
「指定確認検査機関」と言って、(財)建築行政情報センターのHPで
全国の指定確認検査機関一覧を見る事ができます。
今まで行政が行っていたものを民間に委託した事で、
建築確認を取るまでの時間がとても短縮されました。
しかしその反面、耐震偽造の問題(いわゆる姉歯事件)のように
構造計算書の偽造を見抜けなかったという現実もあります。
建築確認は、禁止事項あるいは規制に対し
その解除を求める場合の 『建築許可』 とは区分されます。
真太陽時(しんたいようじ)と読みます。
時刻の表示方法のひとつだそうです。
建築関係とか気象関係の方なら普通に知ってる事らしいですが、
一般人にとっては耳慣れない言葉です。
第1回説明会で資料を頂いた方は、
時刻日影図の右下に小さく「真太陽時」と書いてありますので
確認してみて下さい。
真太陽時とは、太陽が南中に来たときを正午12:00として表す時刻法で、
私たちが見ている時計の正午12:00とは違います。
日本では日本標準子午線(東経135度)に位置している兵庫県明石が
日本の標準時の基点となります。
日本は南北に長いので、
正午12:00に明石の南中に太陽があっても
それより東の東京ではすでに12:20位になっています。
逆に明石より西の地方ではでは時計の針が正午をさしていても
まだお日様は南中まで行っていません。
「笑っていいとも!」が始まった時のお日様の高さは
明石では南中ですが、千葉ではすでに西にかたむき始めているはずです。
このように最東端と最西端では約1時間の誤差が生じるので、
日影図を作る際に地域差が出ないように
時計で見る時間ではなく、太陽が冬至の南中に上がった時を基準にしよう
というのが真太陽時です。
正午12:00に太陽が南中にあるのは明石ですので明石が基準になります。
ですから頂いた日影図は
冬至の明石天文台直下に東習志野2丁目を持ってきた時の日影
という事になります。
実際は私たちの町は明石よりもずっと東に位置していますから、
ここに書かれている真太陽時の時刻よりも
時計で見る時刻は20分早くなると解釈して下さい。
つまり建設予定東側のお宅で真太陽時15:00から日陰になるというのは
実際の時計では14:40位から日がかげるという事です。
逆に西側に位置する1丁目の皆さんの方は、
9:00まで日がささないのではなく、
標準時間で見ると8:40位から日がさすことになります。
明石と東京で18分48秒の差だそうです。
これは詐欺でもなんでもなく、
日影を全国平等に表示しようという日影規制の方法なので
違法でもありません。
私たちが目にしている普通の時計と
真太陽時という時刻の数え方が違うという事です。
長谷工さんが建設予定としている建物の高さは
15階建て 地上44.65メートルです。
東習志野を見回してもそのような建物はないのです。
実籾駅前、「はなの舞」が入っているビルが10階建て
実籾三叉路、旧・スター銀行跡地のマンションが12階建てです。
(当初の予定は14階建てでした)
大久保の日大生産工学部正門前に
シティハウス津田沼東 というのがあります。
これが15階建てのツインタワーです。
道路の反対側からかなり引き気味で撮っても画面に入りきりません(笑)
日大の近くへ行った時はちょっと寄ってみて下さい。
以前はコンビニがあった場所です。
次は高層ビルが立ち並ぶ海浜幕張地区を探してみました。
海浜幕張 ホテルスプリングス 14階建て
これは上部の三角部分は考えない方がよさそうですね。
海浜幕張 幕張東京海上ビル 15階建て
海浜幕張 スターツビル(旧・幕張ロボットFAセンタービル)15階建て
幕張メッセ周辺へ行けば一度は目にした建物たちだと思います。
さすがに海浜幕張周辺は20階以上の超高層ビルが多いので
15階建ての建物はそれほど大きく見えないかもしれませんね。
でもこれらの建物が東習志野へ来たらどうなんでしょう。
どうです?想像つきますか?
よく広大な土地のたとえとして「東京ドーム何個分」という言い方をしますね。
「この牧場は東京ドーム100個分なんですよ!」
といわれても、
「なるほど!あれくらいの広さね!」
と、すぐにその面積がわかる人はいないでしょうね(笑)
「へぇ? 広いんだぁ」
ぐらいの感覚でしょう。
野球中継が多い東京ドームは全国的にその名を知られているのと、
野球場は広いというイメージがあるので、「広さの単位」としては重宝します。
それではこのJFE跡地は東京ドームに例えるとどれくらいになるのでしょう。
通常、東京ドームの面積と言われているものは、
建築面積 / 46,755 平方メートルのことです。
地上から一番高い所が56.190 mです。
(東京ドームシティ公式サイトより)
となるとJFE跡地は 敷地面積が 66,577.07平方メートルありますので、
東京ドームの1.4倍、つまり東京ドームが一個すっぽり入ってさらに余裕がある
という広さです。
これからは「あそこってどれ位の広さなの?」と聞かれたら、
「東京ドームが一個入ってまだ余る広さだよ」と答えましょう。
分かりやすいかどうかは不明ですが(笑)
JFE跡地 = 1.4東京ドーム
もう「単位」として採用しちゃいます(笑)
東習志野界隈の高層住宅の比較をしてみました。
4丁目 ペルル東習志野(元日立製作所厚生施設) 4階、10階建て 66戸
5丁目 メゾンエクレーレ八千代 4階、6階建 86戸
2丁目 実籾県営住宅 中高層合わせて 402戸
3丁目 グランセリオン東習志野(元日立物流跡地) 12階 100戸
東習志野ではありませんが、
屋敷4丁目 グランヒルシティ ミレナ 13階 488戸
千葉市美浜区 マクハリタマゴ 14階 896戸
マクハリタマゴはイメージキャラクターを使ってTVCMも大々的にやっていますね。
そんなマクハリタマゴでさえ896戸。
1505戸という数字の異様さがこの比較で分かると思います。
マンションが予定通りに建設されると
全戸数分の駐車スペースも作られます。
そこでちょっと比較。
サミットストア三山店 90台
イオン東習志野ショッピングセンター 444台
イオン津田沼ショッピングセンター 1,300台
ユアエルム八千代台店 1,100台
イトーヨーカドー津田沼店 平面:194台、立体:536台 合計 730台
1,505台の駐車スペースは、近隣のショッピングセンターよりも断然多いです。
この数、みなさんはどう思いますか?
マンション建設予定の学区は
東習志野小学校、第四中学校です。
平成18年4月1日現在
東習志野小学校 児童数 629名
第四中学校 生徒数 556名
(それぞれの学校HPより)
交通
最寄り駅 京成本線 実籾(みもみ)駅
京成電鉄の運行形態であるスカイライナー・ 快特・特急・通勤特急 は通過。
停車するのは快速・普通だけ。
快速といっても 下り線津田沼から成田までは各駅停車となるので
快速という感覚はなし。
上り線も船橋までは通過駅が2駅しかないので、
ほぼ各駅停車感覚。
実籾から千葉、幕張方面へ出るには、
一旦津田沼へ戻って「千葉行き」に乗り換えないとならないので
非常に不便を感じている。
バス
京成バス 京成八千代台駅 JR津田沼駅 間 1時間に1本
千葉シーサイドバス
幕張駅 日立製作所習志野工場 間
1日4本 土日運行なし
20年以上住んでいますが、公共交通は はっきり言って不便です。
平成19年1月統計の住民基本台帳人口(習志野市に登録されている人口のこと)
に登録されている世帯数と人口は以下の通りです。
1丁目 697世帯 1,763 人
2丁目 523世帯 995 人
3丁目 755世帯 1,789人
4丁目 1,087世帯 2,737人
5丁目 1,047世帯 2,591人
6丁目 924世帯 2,334人
7丁目 150世帯 222人
8丁目 1,767世帯 4,209人
(習志野市ホームページより)
見てお分かりの通り、当該地区の2丁目と3丁目の世帯数を合計
してもやっと1,278世帯、人口は2,744人です。
2丁目3丁目には、工場や学校があるため元々人口は多くはありませんが、
1番多い8丁目でさえ1,767世帯です。
こうして見ると建築予定の1505戸という数字がいかに多い数かわかります。
当該地区の世帯数を遥かに超えてしまっています。
単純に一世帯を3人として計算すると、
1505世帯×3人=4515人 と、なります。
もちろん1人暮らし、または2人暮らしの世帯もあるとは思いますので
一概には言えませんが、それでも上記で示した現在の当該地区世帯数、人口を超えてしまいます。
例えて言うと、「8丁目が丸々引っ越して来る」感じでしょうか。
(あくまで例えです。)
平成16年習志野市議会第1回定例会会議録(第2号) からです。
(これは習志野市のホームページ、
市議会のコンテンツで公表しているものです。)
__________________________
平成16年3月8日(月曜日)
(略)
◆30番
そのとおりじゃありませんか。公表することがまず大事なんですよ。
それが対策の第一歩ですよ。公表せずして対策はどこに立つんですか。
これは私は深刻な行政措置上の重大な誤りだと思いますよ。
住民は報道によって初めて知って、今さまざまな不安感に襲われてますよ、発がん性物質ですから。
そこで、土壌処理をこれからやるというんだけれども、
これは土壌の飛散だとかその他によって、周辺住民に影響はないんですか。
この点伺っておきたい。
◎環境部参事
(略)
それと、先ほどトリクロロエチレンのいわゆる地下水の調査なんですけども、
周辺を含め習志野市はかなり前からやっていまして、
この周辺にはちょうど平成14年の9月に7件ばかりやったんですけども、
そのうちトリクロロエチレンが環境基準の0.03ミリグラム超えたのが
2件ございました。
そういうことで、そういう井戸につきましては飲用しないようにということで、
井戸の使用者と、それから持っている方にお話をして、
飲む場合には煮沸などして飲んでくれというお話をしまして、
その方は飲用には使ってないと、水道があるから大丈夫だというようなお話でございました。
(略)
◆5番
(略)
このトリクロロエチレンについては2件のうちからの検出があったという
先ほど説明がありましたけども、ふっ素や、それからほう素ですね、
これらについての土壌汚染というのは、近隣のお宅の土壌なんかへ
波及しているというようなあれはないんですか。
◎環境部参事
ほう素につきましては東側のお宅で、先ほどお話ししました14年の9月に濃度として4ミリグラム、
基準が1ですので、4ミリグラム。
それともう一軒のお宅ではトリクロロエチレンですけれども……、その1件だけ、
ほう素1件だけでございます。東側の一番近くのお宅で1件検出されています。
◆5番
(略)
あそこは敷地が7ヘクタールぐらいあるそうですから、
でもほうろうを製造していたのは3丁目寄り側なんですよね。
郵便局から東電へ抜ける通り側の方側がほうろう工場があったんですけども、
その汚染されているのは主に東側なんですか、これ、その、ほう素やふっ素は。
◎環境部参事
今ほう素といわゆるフリットかすですね、これを埋めていたところは、
いわゆる今お話しの北側のマラソン道路寄りでございます。
その当時はそこに最終処分にするという、埋め立てについてはですね、
基準、いわゆる規制対象になっておらなかったということで、
そこに埋めておったんですけども、
今お話ししましたように、新たに土壌汚染対策が講じられまして、
その中に規制項目として入ったということから、
昨年その分はすべて撤去いたしました。
これは最終処分場、いわゆる産業廃棄物最終処分場の方に持っていきまして撤去しております。
それから、いわゆる敷地の中ですけども、何カ所かやっていまして、
そこでは特定されてないんですけども、
トリクロロエチレンも含めまして全般的に広がっていると。
主にそのうちでも北側というんですか、北東の方です、
最終処分場あった今は北側の方が出ているというのが実態でございます。
◆5番
これはJFE建材の責任で調査がされてその処分をするということなんですが、
その他、やはり周辺に及ぼしている影響を本当にないのか、
これはもっと建材に対して行政指導をすべきだと思うんです。
そして市民に安心させてあげるといいますか、そういうことが必要だと思うので、
ぜひそれは運び出しをしたり、あるいは曝気してトリクロロエチレンについての
中和をすることの過程でも必要ですし、
終了後もきちっと対応していただくことを要望して終わります。
◎企画政策部長
御指摘いただきました点につきましては、JFEにお伝えをしてまいりたいと、
このように考えております。
__________________________
質問している市議会議員さん、答えている環境部参事さんの個人名は
削除して掲載させていただきました。
詳しくは 習志野市のHP > 市議会 > 会議の記録
> 平成16年第1回定例会 > 第2号 平成16年3月8日(月曜日) をご覧下さい。
このやりとりを読んでいますと、規制対象の項目になるまでは
敷地内、北側に処分していたんですね。
これは旧・川鉄時代の工場配置図(JFE建材のお知らせより引用)
なのですが、赤い枠のあたりが敷地・北東部分ですね。
(画面上が北)
大きい画像ですみません。 この地区の用途地域図です。
習志野市役所から頂いてきました。
赤い枠が今回の建設現場、JFE建材跡地です。
水色 = 工業地帯
紫色 = 準工業地帯
黄色 = 第一種住居地域
緑色 = 第一種中高層住居専用地域
赤色 = 商業地域
ピンク = 近隣商業地域
となっています。
用途地域の説明については こちら をご覧下さい。
そして建設現場を拡大すると以下の様になります。
青い枠の中には戸建ての住宅、小規模の集合住宅、社宅、歯科医院、
その他店舗、整備工場、電力会社の営業所等があります。
特に現場に接している東側、西側、北側の家屋は現場と塀一枚という状態です。
都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。
住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、
第一種低層住居専用地域など12種類がある。
<第一種低層住居専用地域>
低層住宅の良好な住環境を守るための地域。
(床面積の合計が)50平方メートルまでの住居を兼ねた一定条件の店舗や、
小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができる。
例として、2階建て程度の戸建て住宅のみの、文字通りの住宅街など。
コンビニなどもない事が多く、日用品・日常生活のための零細規模の
店舗・事務所兼用住宅が点在する程度。
第二種低層住居専用地域
主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域。
150平方メートルまでの一定条件の店舗等が建てられる。
例として、第一種低層住居専用地域の例に加え、
コンビニなどのごく小規模な店舗などがあるもの。
<第一種中高層住居専用地域>
中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
500平方メートルまでの一定条件の店舗等が建てられる。
中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。
例として、3階建て以上のアパートやマンションがある住宅街など。
コンビニなどの小さめの店舗があるが、兼用住宅を除き事務所はない。
<第二種中高層住居専用地域>
主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
1500平方メートルまでの一定条件の店舗や事務所等が建てられる。
例として、第一種中高層住居専用地域の例に加え、
小規模のスーパー、その他広めの店舗・事務所などがあるもの。
<第一種住居地域>
住居の環境を保護するための地域。
3000平方メートルまでの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、
環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
例として、中規模のスーパー、小規模のホテル、
中小の運動施設、その他中規模の店舗・事務所などがあるもの。
<第二種住居地域>
主に住居の環境を保護するための地域。
10000平方メートルまでの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・
カラオケボックス等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
具体例としては、郊外の駅前や幹線道路沿いなど。
アパートやマンションがあり、大きめのスーパーや
商業店舗・事務所などがあるもの。
<準住居地域>
道路の沿道等において、
自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域。
10000平方メートルまでの一定条件の店舗・事務所・ホテル・
パチンコ屋・カラオケボックス等や、小規模の映画館、
車庫・倉庫、環境影響の小さいごく小規模な工場も建てられる。
具体例としては、国道や幹線道路沿いなどで、
宅配便業者や小規模な倉庫が点在するような地域である。
道路沿いの住宅街に倉庫を建てさせたいという目的で設置された用途地域とも言える。
車庫について規制解除された他は第二種住居地域に準じている。
<近隣商業地域>
近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域。
ほとんどの商業施設・事務所のほか、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・
カラオケボックス等のほか、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場も建てられる。
延べ床面積規制が無いため、場合によっては中規模以上の建築物が建つ。
具体例としては、駅前商店街である。
小さな商店がたくさんある状態から、中規模以上の商業施設まで有り得る。
<商業地域>
主に商業等の業務の利便の増進を図る地域。
ほとんどの商業施設・事務所、住宅・店舗・ホテル・
パチンコ屋・カラオケボックス等、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場のほか、
広義の風俗営業および性風俗関連特殊営業関係の施設も建てられる。
延べ床面積規制が無く、容積率限度も相当高いため、高層ビル群も建てられる。
具体例としては、都心部の繁華街(東京の歌舞伎町、名古屋の栄、大阪のキタやミナミなど)や
オフィスビル街(東京大手町、名古屋駅前、大阪駅前など)など。
都心回帰により、近年は商業地域に高層マンションなども建設されている。
工場関係以外はほぼ何でも建設可能な地域である。
住宅を商業地域で取得した場合、いきなり隣にラブホテルができてしまうという例もある。
<準工業地域>
主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域。
住宅や商店も建てることができる。
ただし、危険性・環境悪化のおそれが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できない。
<工業地域>
主に工業の業務の利便の増進を図る地域。
どんな工場でも建てられる。住宅・店舗は建てられる。
学校・病院・ホテル等は建てられない。
簡単には、愛知県豊田市を想像してほしい。
トヨタ自動車の工場の隣に社員寮があるような状態である。
<工業専用地域>
工業の業務の利便の増進を図る地域。
どんな工場でも建てられる。
住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。
福祉施設(老人ホームなど)も不可。
簡単には、京浜工業地帯などに代表される湾岸地域などである。
石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている地域である。
また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。
よって、住宅などは建設できない。
平成19年(2007年)1月28日(日)、
長谷工の第一回説明会が地元コミュニティーセンターで開催。
受付で住所、氏名を書き、書類をたくさん渡されて会場に入りました。
なるべく前で聞きたかったので中央前方の方へ。
早目に行きましたが、すでに前方はかなり席が埋まっていましたので
一席空いている席に結構無理やり腰を下ろしました。
座席に通路を設けておらず、席と席の間も狭く大変窮屈でした。
たった10日前に配布されたお知らせには
「共同住宅を建設予定」としか書かれていなかったので
出席するまでは実際の規模は分かりません。
会が始まるまで、頂いた書類に目を通した方から思わず
「なんだこれは」と驚きの声が上がりました。
定刻となり説明会が始まりました。
長谷工側の出席者の紹介、地元連合町会のあいさつの後
本題の計画説明に入りました。
説明はスライドや軽快な音楽付きの3D映像で約40分位。
確かに書類を見ながらの説明よりは分かり易いですが、
スライドやPCを操作する方が最前列ど真ん中に2人いらっしゃったので
その方達の頭でスクリーンの1/3は見えなかったですね。
しかも席がぎゅうぎゅうなので体を動かしてスクリーンを見ようとすると
周りの方に迷惑なので出来なかったです。
映像を使っての説明の後、質疑応答。
真っ先に手を挙げた方から開口一番、
「白紙撤回を希望します」との発言。
周りから拍手が起こりました。
その後も
「階数を10階以下に」「一部戸建てに」「建物の圧迫感が嫌だ」
「学校は足りるのか」「信号付きの横断歩道を増やせ」
「土日の工事はやらないでくれ」「ペット飼育は許可するな」
「周辺道路の交通渋滞をどうするのか」
「自分の家の隣にこんな巨大なものが建ったらどう思うんだ」
「基礎工事はどんな事をするのか」
「工事中の騒音、振動が不安」「この地域にふさわしくない」
「地盤が弱いと聞いているがどうなのか」
「JFE工場の解体作業、環境改善工事の際に被害を受けたので
ちゃんとして欲しい」
「工事中はマラソン道路にダンプを通すな」
等々の多岐に渡る質問や要望が出されました。
突然降って沸いた巨大マンション建設計画。
地元住民はただ唖然とするのと同時に憤慨し、限られた時間内で
何をどう聞けばよいのか?? と、戸惑った感じでした。
それぞれの質問等に対して長谷工側は、
「ご要望としてお伺いします。」
「その要望は行政が絡みますので、お答えできません。」
「お答えできません。」
「法律や市条例の範囲内です。」
全ての質問に対してこのような返事でした。
計画は決定で、条例の範囲内なのですからそういうお答えになるのでしょうね。
長谷工さん曰く、
「私どもはJFEさんから土地を買ったのです」
これは事実な訳ですから。
会場を借りている時間が限られている為という事で
後半はあたふたと、ばたばたと、中途半端に会は終了しました。
次に使う団体も見えているので仕方ありませんね。
しかし、こんな大事な話が1時間45分で済むと思っていたのでしょうか。
もっと余裕のある時間設定をするべきですね。
マイクの具合も悪かったし、座席の窮屈さ、資料が出席者全員分無かった、
スライドの画面がすぐ出ないなどプレゼンテーションとしては準備不足を感じました。
又、主催者側はテーブルを使用し、背もたれにもたれて足を組みながら3D映像を
見ていたりして、メモを取るテーブルも無い、座席の余裕もない私たちから見て
非常に不愉快でした。
近所で工事をする時は「ご迷惑をおかけします」と、
タオルの一枚、菓子折りのひとつ持ってくるのが日本人の礼儀じゃないでしょうか。
いえべつにタオルや菓子折りが欲しいと言ってるのではありません(笑)
人と相対する姿勢とか態度に疑問を感じたのです。
もし我が家が新築や建て替えをするとなっても
「条例の範囲内ですから♪」と言って隣近所に構わず
目一杯高く、目一杯広くは作らないでしょう。
普通しないですよね。 ちょっとは遠慮ってものがあります。
(もちろん中には人の迷惑を省みない人もいるでしょうが)
企業になるとできちゃうんですね。
企業になってしまうと「人の心」なんか無くなってしまうのでしょうか。
最近の企業はどこも「環境に優しい 人に優しい」とか「エコ対策」というのを
率先してやっていますが、そうではない企業もあるのですね。
そういった意味でもとっても残念な説明会でした。
長谷工が計画しているマンションの概要は以下の通りです。
1.建築物の名称 (仮称)東習志野計画新築工事
2.建設地 千葉県習志野市東習志野2丁目1番地2他(地番)
3,地域・地区 工業地帯 建ぺい率 60% 容積率 200%
4.建築用途 共同住宅 (分譲)
5,構造・規模 鉄筋コンクリート造 地上15階 高さ44.65M
6.住戸数 1,505戸
7,敷地面積 66,577.07平方メートル (提供公園面積 3,530.00平方メートル含む)
8,建築面積 27,421.70平方メートル
(容積対象床面積 126,089.16平方メートル)
9,延べ床面積 186,080.32平方メートル
10,基礎工法 現場造成杭
11,工事期間 平成19年6月末日 から 平成22年3月末日(予定)
12,建築主 株式会社長谷工コーポレーション
有楽土地株式会社
名鉄不動産株式会社
三交不動産株式会社
東レ建設株式会社
新日本建設株式会社
13,設計者 株式会社長谷工コーポレーション
14,施工者 株式会社長谷工コーポレーション
(実際の書面には会社住所が表示されていますが、このサイトでは省略します)
10月に環境改善工事完了の知らせをもらって年を越し、
明けて平成19年1月18日。
自宅ポストに一枚の紙が入っていました。
*************************************
平成19年1月18日
ご近隣の皆様へ
総合企画:株式会社長谷工コーポレーション
:株式会社テン設計
ご挨拶及び説明会のご案内
拝啓 皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、この度私共は、千葉県習志野市東習志野2丁目18(住居表示)
(JFE建材跡地) におきまして、共同住宅の建設を計画しておりますので
本日ご報告を兼ねご挨拶申し上げます。
計画の具体的な内容等につきましては下記の通り説明会を開催のうえ
ご説明させて頂きたく考えております。
つきましては、お忙しい中、ご足労をお掛けいたしますが、何卒、
ご出席賜りますようお願い申し上げます。
なお、ご都合によりご出席頂けない皆様には、後日戸別訪問させて頂き
ご説明申し上げますのでご承知置き下さいますようお願い申し上げます。
敬具
記
1.物件名 : (仮称) 東習志野計画新築工事
2.日時 : 平成19年1月28日(日)
午後4時:00分から午後5時:45分
3.場所 : 東習志野コミュニティーセンター 多目的室
4.本件に関するお問い合わせ先
株式会社長谷工コーポレーション
担当:○○、○○
TEL ××-××××-××××
株式会社テン設計
担当:○○
TEL ××-××××-××××
*************************************
平成18年10月に環境改善工事終了の知らせを受けて、
次に頂いた知らせは「共同住宅建設計画」です。
その間たった3ヶ月。
地元住民はあっけにとられました。
JFE建材による環境改善計画は、当初の予定に延長期間7ヶ月を加え
平成平成16年4月15 日から平成18年8月末日まで、実に2年4ヶ月に渡り実施されました。
工事期間中、周辺住民への影響は大変なものでした。
建屋解体の騒音、掘削の振動、毎日60台から100台近くのダンプの出入り。
それでも私たちは我慢したのです。
地域住民は平成18年10月6日、町会の回覧板で「環境改善工事の工事完了」を知ります。
『やっと終わったか・・・。』
皆がほっとしたのは言うまでもありません。
そして、お知らせ文書の最後に
____________________________________________________________________________________________________________________
なお、地下水浄化につきましては敷地東側と南側に揚水井戸及び浄化設備を設置し、
行政のご指導をいただきながら今後も揚水浄化を継続いたします。
浄化設備を設置しているこれらの土地は今後とも売却せず、
引き続きJFE建材(株)が保有いたします。
______________________________________________________________________________________________________________________
と、ありましたので、ゆくゆくは何か建つにしても
当分は更地のままなのだろうと思っていました。
*追記致します* (2/7)
この文章の解釈はこういう事ですね。
この敷地内の浄化設備を設置している東側と南側の土地は今後とも売却せず、
引き続きJFE建材(株)が保有いたします。
私はてっきり、
「浄化設備を設置しているこれらの土地は」の これら が
敷地全体の事かと思っていました。
何度も読み返して気付きましたよ。
日本語が難しいのか私の読解力が乏しいのか(笑)
みなさんはちゃんと理解できましたか?
この地でJFE建材(旧・川鉄建材)操業を開始したのは昭和36年(1961年)。
JFE建材(旧・川鉄建材)習志野工場ではホーロー工場と角型鋼管工場があったわけですが
そこから出る人体に有害な汚染物質をずっと垂れ流していた訳です。
習志野市は水質汚濁防止法及び土壌汚染対策法に基づき、
監督官庁である千葉県と共同で、この地域にある工場に
土壌調査をするよう、平成6年に指導しています。
その結果、このJFE建材(旧・川鉄建材)習志野工場で土壌の汚染が確認されました。
トリクロロエチレンを主とした揮発性融合化合物による
土壌・地下水の汚染が環境基準を超えていました。
平成8年から揚水井戸による浄化を実施。
平成12年、土壌の環境基準にほう素、ふっ素が追加されました。
平成13年3月 日本鋼管ライトスチールとの合併合理化により、習志野工場が閉鎖されました。
この工場閉鎖を機に本格的な土壌・水質調査が平成13年11月から平成15年1月まで行われました。
その結果・・・・。
<工場内の土壌から>
フッ素 最大値で89mg/l 環境基準は0.8mg/l
ホウ素 最大値で355mg/l 環境基準は1mg/l
トリクロロエチレン 最大値で240mg/l 環境基準は0.03mg/l
他にトリクロロエチレンの不純物等として揮発性有機化合物4物質が検出
<工場内の地下水から>
ホウ素 最大値で36mg/l 環境基準は1mg/l
トリクロロエチレン 最大値で47mg/l 環境基準は0.03mg/l
他にトリクロロエチレンの不純物等として揮発性有機化合物6物質が検出
実に、環境基準の8,000倍もの発がん性物質であるトリクロロエチレンが検出されたのです。
8,000倍ですよ?
どんな数字なんですか。
しかもその調査結果は監督官庁が1年前にわかっていながら地域住民に公表してなかったのです。
公表が遅れた理由として県は、
「対策を完全に講じてから、そういう方向が出てから公表すべきではないか」
「敷地内ということで」
だそうである。
実際には隣接した戸建ての土地からも
トリクロロエチレン等が一部環境基準を超えたという事実があるのにです。
地域住民は何十年も汚染された土壌の近くに住み、
何も知らされないままでいたのです。
上記の記事は習志野市議会 会議の記録を参考にさせて頂いております。
JEF建材が発表したニュースリリース(PDFファイル:204KB)
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JFE建材は、旧習志野工場から出る特定有害物質である
フッ素及びホウ素が環境基準値を超過した土砂、約120,000 m3を
22ヶ月かけてJFE スチール株式会社東日本製鉄所岸壁(千葉市)へ
運搬し、一時仮置、積替えて船舶にてセメント工場へ搬出する。
仮置き期間は1から2 日。
ダンプ・トラック受入台数:60から100 台/日
船舶(699t クラス):2から3 隻/週
搬出先 太平洋セメント(株)の各セメント工場(北海道、九州、その他)
(セメント原料として再利用を行う)
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JFE建材は上記の計画を平成16 年8月6日に搬出先である千葉市長に提出しました。
それからというもの、工事休業日を除く毎日、
工場建屋を壊す騒音と振動、土を掘り返す振動、土ぼこりに悩まされました。
毎日100台近くのダンプが管理土と呼ばれる汚染された土砂を満載して
工場跡地から蘇我の岸壁に向かって行きます。
ダンプによる振動も凄いものでした。
中には非常に運転操作の荒い運転手さんもいて、
積んだ管理土がこぼれ落ちていたこともあります。
工事現場を足場を組んでシートなどで囲んでいましたが、
強風の時は足場ごと倒れ、元々あったブロック塀ごと10M近くに渡って
ハミングロード側に倒れてきたこともあります。
又、シートが風によってあおられて外れたり、バタバタバタとはためいて
しまって、その音の怖さで夜を過ごした事もあります。
本当にこの期間は振動、騒音、風、砂埃がひどかった記憶しかありません。
振動も色々あって震度5ぐらいの揺れや、
小さく細かい振動(例えて言うとしたら超音波のような)などがありました。
小さい振動というのは、とても気持ちの悪いものです。
その日の工事が終わってもまだ体が揺れていました。
平成17 年9 月、平成16年4月から22ヶ月の予定だった環境改善工事が
延長される旨、発表がありました。
対象土量が当初数量の約1.6倍に増加することが判明。
初めの予想が甘かったのか、それとも掘れば掘るほど
有害物質が出たのか、とにかく工事がさらに延びる事になりました。
7ヶ月の工事延長です。
平成16 年4 月より工事を開始し、平成17年9月末現在で予定工事の65%が完了とのこと。
予定取り扱い数量が
約120,000 m3 から約160,000 m3 (約40,000 m3 増加)に訂正されました。
1.6倍の誤差なんてあり得ませんね。
もちろん汚染された土砂はひとつ残さず改良していただきたいですが
それにより更に我慢の日々を強いられたのです。
JFE建材習志野工場の敷地内から基準の8,000倍もの汚染物質が検出された訳ですが、
周辺住民への健康調査はあったのでしょうか?
答えはNOです。
特別な健康調査はありませんでした。
トリクロロエチレン等が確認された井戸の所有者や使用者に対し、
平成2年に習志野市で設置した
「トリクロロエチレン等地下水汚染健康調査委員会」において、
健康調査を実施しておりますが、現在に至るまで
健康に支障があるという報告は受けておりません。
(平成16年習志野市議会第1回定例会会議録(第2号) より)
つまり、この騒動が起きるずっと前の平成2年から
トリクロロエチレン等地下水汚染健康調査はしているが、
体の具合が悪いと言ってきた人はいない という意味ですね。
しかし自己申告ではなく、きちんと医学的に健康診断をすべきだと思うのです。
トリクロロエチレンだけではなく、フッ素、ホウ素などの量も膨大な訳ですが、
それらの人体への影響を病理学の面から検査して欲しかったです。
うちは井戸を所有していないので調査対象ではありません。
しかし、父親は平成2年(1990年)に肺がんにより64才で、
母親は平成11年(1999年)に胃がんにより67才で亡くなりました。
この家族が当地で生活をするようになったのは昭和46年(1971年)からです。
旧・川鉄が操業を始めて10年目の年です。
父親はここで暮らして19年、母親は28年で亡くなった事になります。
一概に工場からの汚染物質のせいとは言えませんが、
要因のひとつではなかったのかと思えてしまいます。
平成18年10月、町会の回覧板にてJFE建材からのお知らせが回ってきました。
以下の内容です。
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平成18 年10 月6 日
旧川鉄建材(株)習志野工場
ご近隣の皆様および関係者 各 位
JFE建材株式会社
旧川鉄建材(株)習志野工場
環境改善工事の工事完了のお知らせについて
旧川鉄建材(株)習志野工場ご近隣の皆様および関係者の方々におかれましては、
工場跡地の環境改善工事に関し、平素より格別のご理解とご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
本工事につきましては、平成16年4月より工事を進めてまいりましたが、このたび平成18年8月末をもって土壌の浄化工事が完了いたしました。
ここに工事完了のご報告を申し上げます。工事期間中、近隣の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしましたが、ご理解ご協力いただきましてまことにありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。
千葉県及び習志野市には、土壌浄化完了報告書を提出し、9月末に浄化完了のご了解をいただきました。
なお、地下水浄化につきましては敷地東側と南側に揚水井戸及び浄化設備を設置し、
行政のご指導をいただきながら今後も揚水浄化を継続いたします。
浄化設備を設置しているこれらの土地は今後とも売却せず、引き続きJFE建建材(株)が保有いたします。
以上
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改善された各種の数値等は公表されていません。
揚水井戸及び浄化設備を設置し、
今後も揚水浄化を継続するという事は完全に浄化されていないという事なのでしょうか。
そして、これらの土地は今後とも売却せず、引き続きJFE建建材(株)が保有する
という文章に近隣住民はしばらくの間は更地のままなのだと、一安心しました。
*以下追記致します* (2/7)
この文章の解釈はこういう事ですね。
この敷地内の浄化設備を設置している東側と南側の土地は今後とも売却せず、
引き続きJFE建材(株)が保有いたします。
私はてっきり、
「浄化設備を設置しているこれらの土地は」の これら が
敷地全体の事かと思っていました。
何度も読み返して気付きましたよ。
日本語が難しいのか私の読解力が乏しいのか(笑)
みなさんはちゃんと解釈できましたか?
トリクロロエチレン (trichloroethylene) は有機塩素化合物の一種である。
常温では無色透明の液体で、不燃性である。揮発性があり、甘い香りを持つ。
脱脂力が大きいため、半導体産業での洗浄用やクリーニング剤として
1980年代頃までは広く用いられていた。
しかし発がん性が指摘され、代替物質への移行が行われている。
土壌汚染や地下水汚染を引き起こす原因ともなるため、
各国で水質汚濁並びに土壌汚染に係る環境基準が定められている。
日本では化学物質審査規制法により、1989年に第二種特定化学物質に指定された。
国際がん研究機関の発がん性評価ではグループ 2A の
「おそらく発がん性を持つ」物質として規定されている。
用途としては、様々な有機化合物の良溶媒である。
1920年代に初めて広く使われ始めたとき、その主用途はダイズ、ココナッツ、ヤシからの
植物油の抽出であった。
他にも、食品工業においてコーヒーのデカフェ、ホップや香辛料からの香料の抽出に使われた。
ドライクリーニング用の溶媒としても利用されたが、
この用途は1950年代にはテトラクロロエチレンに取って代わられた。
毒性をもつことから1970年代以降ほとんどの国で食品および医薬品工業での使用が禁止された。
その歴史の大部分を通して金属部品のグリース落としとして広く使われた。
1950年代後期、より毒性の低い 1,1,1-トリクロロエタンが登場したことにより、
グリース落としとしての需要は減少し始めた。
もう1つの問題点として、印刷をはがしやすくプラスチックを溶かしてしまうことから、
多くの機械類へ適用する溶媒としては好ましくないという点が挙げられる。
しかしながら、モントリオール議定書に従い 1,1,1-トリクロロエタンの製造は
世界の大部分で廃止され、結果としてトリクロロエチレンが再び使われるようになった。
100% エタノールを製造する際に、最後に残った微量の水を取り除くのにも使われている。
長い間クロロホルムやジエチルエーテル(エーテル)を抑え、
製造にかかる時間およびコストの面で高い効率を示し続けた。
イギリスのインペリアル・ケミカル・インダストリー (ICI) がさきがけとなり、
クロロホルムのような肝毒性や、エーテルのような刺激性・可燃性を持たないことから、
その発展は革命とたたえられた。
それでもなお、心筋のアドレナリンへの感受性を増加させ不整脈を誘発するなど、
いくつかの欠点がある。
また、揮発性が低いので蒸発させるためには注意深く温度を制御しながら加熱する必要がある。
肝機能検査の値に一過性の上昇が見られるとの研究結果から、
肝毒性を持つ可能性があるとみなす考えが強まった。
ハロタンと同程度の率だが死亡に至る場合もあった。
炭酸ナトリウム(低流量の再呼吸装置の閉鎖回路で使われる二酸化炭素の吸収剤)
と共存させると危険であり、容易に分解して 1,2-ジクロロアセチレンになる。
この化合物は神経毒性を持ち、肝毒性も疑われているが、
これはむしろ代謝生成物であるトリクロロ酢酸が原因となっている可能性が高いとされる。
ハロタンは1956年には市場で隆盛を誇り、
妊婦への鎮痛薬としての使用が胎児の死亡と関連付けられた1980年代まで、
全廃は達成されなかった。
発がん性への懸念も同時に起こった。
トリクロロエチレンの活性な代謝生成物はトリクロロエタノールであり、
これは抱水クロラールのそれと同じである。
そのため後者の発がん性への懸念が高まり、議論が行われている。
トリクロロエチレンを含む有機塩素化合物は自然にはほとんど分解しないこと、
海洋汚染源になることから環境に大きな負荷を与える。
吸入すると、トリクロロエチレンは中枢神経系を抑制する。
症状は急性アルコール中毒に類似し、頭痛、めまい、錯乱に始まり、
吸入を続けると意識喪失を経て死に至る。
香りに対して鼻はすぐに麻痺し、知らずに致命的な量を吸引するおそれがあるため、
高濃度の蒸気が存在する可能性のある場所では注意・警戒が必要とされる。
ヒトに対する長期的影響は知られていない。
動物実験では、慢性的な被曝によりマウスでは肝臓がんが引き起されるが、
ラットの場合には起こらないことが知られている。
動物の生殖における影響の検討でも同様な不一致が見られるため、
ヒトの場合にも先天的な異常が起こるかどうかについて明確な結論は出ていない。
最近の研究ではトリクロロエチレンへの被曝と受精率の間に関連があることが示されている。
また、ある場合には精子数の減少が見られることが報告されている。
より最近の分析で変異原性と催奇性が弱い証拠が提示されており、
機構は明らかでないが腫瘍の発生を促進することが知られている。
しかし、環境量の被曝と比較した場合、
外科用麻酔薬としての長期間の使用によるがんの発生率の増加は認められず、
そのような効果はおそらく持たないであろうことが確からしいとされている。
国際がん研究機関 (IARC) はトリクロロメタンと同様グループ 2A
「ヒトに対する発癌性がおそらくある」に分類している。
アメリカ合衆国の環境保護庁 (EPA) は1990年代にトリクロロエチレンが
ヒトの健康に及ぼす影響を評価するための大規模な調査を行った。
4年間の研究ののち、2001年に EPA の主任研究員は以前に考えていたよりも
発がん性を持つことが2から40倍確からしくなった、と結論した。
全米科学アカデミーは2006年7月27日にトリクロロエチレンの
「発がんの危険性および他の健康に被害を及ぼす危険性を持つ証拠が2001年に比べて強まった」
と発表した。
さらに、トリクロロエチレンが腎臓がん、生殖機能および発育への障害、神経障害、
自己免疫疾患を引き起こす可能性を持つことを示す「膨大な疫学的データ」があることを報告した。
アメリカスーパーファンド法で指定された最も汚染された地域
(特にアメリカ国防総省、アメリカ合衆国エネルギー省、アメリカ航空宇宙局の管理区域)
のうち 60% でトリクロロエチレンが検出されている。